皆さん、こんにちは。

自己紹介がてら、私が児童精神科医になるまでのお話しをしてみようと思います。元々子どもが大好きでしたので、医学部を卒業してからは迷わず小児科を選びました。毎日寝る間もない程忙しく過ごしていましたが、ある日忘れもしないことが起きました。尊敬する先生の外来診療を見学に行った時です。私の何倍も忙しいその先生は患者さんと楽しそうにお話をして、もうすぐ運動会があると知ると、カルテに「運動会」と書き込みました。私は本当にはっとしました。それまで子どもの病気が治せるようになりたいと思って頑張っているつもりでしたが、病気だけみていても子どもは元気にならないと気づいたからです。それからというもの、私の外来は少し時間がかかるようになりました。家族のこと、学校のこと、お子さんによって千差万別と学びました。

数年が経ち、食事が摂れずに痩せていく子どもを診察する機会が増えました。当時は、摂食障害は「やせ願望」「ボディイメージの歪み」あるいは、「自分をコントロールできる万能感」から起きる、と言われていました。あるお嬢さんが来院され、少しの時間でもあると運動をして、どんどん痩せていくのですが、そんな考えは全くないと言います。絶対に飲んでくれないだろうな、と思いながら液体の栄養ドリンクをたくさん処方して持たせました。2週間後に来院するとちゃんと全部飲んだと言って、体重も回復傾向でした。嬉しくも、どうしてちゃんと飲んでくれたのか、私には理解できなかったのです。後になって発達障害という概念が浸透してきて、あのお嬢さんは「自閉スペクトラム症として、運動するというこだわりが強くなってしまったのだな」と合点が行きました。後からカルテを見直すと、こだわりや感覚の過敏、人との付き合い方がうまくできないなど、診断に足ることをたくさん記載していましたが、当時の私にはわからなかったのです。

そこからまた数年が経ち、私は児童思春期精神科の研修を受けることにしました。真面目に小児科医をやってきたつもりでしたが、知らないことが沢山ありました。愛着の問題について、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症、学習障害について、協調運動や視知覚という概念について、うつや双極性障害について、そして家族の問題、それらが絡みあって惹き起こる様々な問題を目の当たりにし、正直なところ呆然としました。日々悩みながら過ごしましたが、たどり着いた答えは、まずは話をよく聞いて、一緒に考えることが一番大事だということです。同じ相談事のようでいて、その背景が違うと全く違うアプローチになることを沢山経験しました。それで解決するかといえば必ずしもそうではありませんが、とにかくそこから始めるしかない、ということです。

というわけで、当クリニックを受診されると初診は長いです・・(すみません)。もちろん、お薬が必要な方にはお薬を処方しますが、それ以外にできることも一緒に考えたいからとご理解頂けたらと思います。

小さなクリニックで完全予約制ですので、患者様が一度にたくさん来院されることはありません。また最寄り駅からは広い歩道があります。うるさい音が苦手なお子様、ぱっと走り出してしまうお子様も安心して来院していただけると思います。

院長
東 飛鳥
ひがし あすか
経歴
略歴
東北大学医学部卒業
聖路加国際病院小児科 初期研修
都立小児総合医療センター児童思春期精神科 後期研修

日本バプテスト病院小児科
都立大塚病院児童思春期精神科
聖路加国際病院小児科・児童精神科

日本小児科学会小児科専門医
精神保健指定医
子どものこころ専門医
小児心身医学会認定医
 
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