ストラテラカプセル5mgにつきまして、今月末ごろを目途に供給ができなくなる見込みとの連絡が製薬会社よりありました。
供給停止の理由は、アトモキセチンとして出荷されたお薬にN-ニトロソアトモキセチンという、発がんのリスクの懸念される物質が混入していたためです。
ストラテラ(アトモキセチン)そのものに発がんのリスクのある成分が含まれているわけではありません。
アトモキセチンを製造する過程のうち、高濃度の窒素酸化物が含まれる環境下での製造工程で、窒素酸化物とアトモキセチンが反応を起こして、N-ニトロソアトモキセチンができ、それが混入してしまったとのことでした。
混入の量については、大人の最大量である120mgを毎日服用したとしても、米国FDA、欧州EMA、豪州TGAが公表しているはN-ニトロソアトモキセチンの一日許容摂取量には達しないとのことです。また、アトモキセチン販売会社の一つである日医工のデータによれば、アトモキセチン120mgを毎日服用した場合、がんを発症するリスクは139000人に1人増えると推定されております。医薬品規制調和会議ICHの策定したガイドラインでは、100000人に1人以下のリスクは許容可能とされていますので、アトモキセチンを服用することによる発がんのリスクについては心配しなくてもいいという結果です。
ただ上記のごとく、N-ニトロソアトモキセチンは混入したものですので製造時期、製造ロッドによってその混入量が違うとのことで、混入の多いロッドは自主回収となっているようです。
当院に通われている患者様の中にはストラテラ(アトモキセチン)の服用によって症状に改善がみられる方も多くおられます。
発がんのリスクについて心配しなくてもいいという結果ですので引き続きご理解頂き処方を継続したいと考えておりますが、お薬の供給につきまして不明な点が多い状況です。今後も情報がわかり次第お伝えいたします。
皆様にはご心配をおかけいたしまして申し訳ありません。